ドラマ「病院の治しかた」に学ぶ、クリニック経営の要点 その2

ドクター総合支援センターの近藤隆二です。

ドラマ「病院の治しかた」を観られたかたはおられますでしょうか?

私のクライアントのクリニックではスタッフが観られて、院長先生に「先生も観るといいですよ」とわざわざLINEで連絡があったそうです。

その先生は早速再放送を録画して、観ることにされたようです。

第2回も見所が数多くありました。

今回も私が感じた要点をお届けします。

【第一の要点】
「病院を上手に承継するには、新たな承継者を主人公にする」

このドラマでは承継というよりも、主人公の有原修平が理事長である叔父の有原健次郎に理事長の退任を迫ります。

理事会で理事長を選任することになり、修平が新理事長に選ばれるのですが、健次郎自身は当初修平に裏切ったのか?と迫りながらも修平が理事長になることを支持します。

健次郎は改革を行う理事長には自分よりも修平の方がふさわしいと考え、古参の事務長を連れて潔く病院を去っていきます。

これはなかなかできることではありませんし、大変重要なポイントだと思います。

健次郎が何らかの形で病院に残っていれば、病院は二重権力構造となり思ったように改革は進まなかったでしょう。

これはクリニックの承継でも同じことです。

承継したのちに前院長が権力を持っていると、新院長が嫌になり物別れになってしまった事例は世の中に数え切れないほどあるのです。

【第二の要点】
「理念を明確にして、伝え続ける」

有原は病院の理念、判断基準を以下のようにまとめて伝えています。

1. 常に新しく良質な医療を提供すること。
2. 活力のあるチーム医療を確立すること。
3. 夢と希望に溢れる職場環境を作ること。

スタッフを集めて理念を伝え、全ての職場でこの基準で行動するよう訴えますが、ほとんどのスタッフは真剣に聞いていませんが有原はめげません。

一度伝えただけで理念が伝わることはないからです。

このようにシンプルな理念を決めて伝え続けることは大変重要です。

しかし、諸刃の刃でもあります。

それはトップ自らが理念を体現していないと、スタッフからの信頼をなくしてしまうからです。

【第三の要点】
「人の意見を聴き、改革にはトップ自らが率先して取り組む」

組織はトップで決まります。

これは組織が変わるためにはトップ自身が率先して変わり、改革に取り組む必要があるということです。

有原は常に「患者さんのため、地域のために」ということを伝え続けます。

そして、何か意見があれば直接トップに言うように伝えます。

院長室の扉はいつも開けているのです。

ここで大切なことは意見をきちんと受け止めてあげることです。それがないと貴重な意見でも伝えてくれなくなるでしょう。

【第四の要点】
「病院の価値観にマッチしないスタッフは慰留しない」

有原は改革の一環として人事考課の見直しを行います。

この説明をすることでスタッフの大反発を受けますが、「地域のため、患者さんのため」という目的を伝え改革の必要性を訴えます。

しかし、全員の理解を得ることはできず、多くの看護師が辞めることになりますが、一切引き止めることはしませんでした。

これは現実に起こると病院の経営が立ちいかなくなるほどの危機ですが、有原は価値観の合わないスタッフはやめてもらって良いと考えます。

これは大変重要なことです。

新規にスタッフを採用するときには、価値観を明示し、それにマッチする人を採用することが肝要です。

人が自分の価値観を変えることは大変困難なことだからです。

【第五の要点】
「2:6:2の法則を理解し、少しずつ理念を浸透させる」

有原は人事考課の説明会を行いますが、当初は誰も参加しませんでした。

粘り強く説明会を継続するうちに、一部の医師が参加するようになりました。

その時、有原は「これはいける」と考えます。

組織には2:6;2の法則があり、2割が理念や価値観に同意できれば残りの6割はついてくると考えているのです。

理念や価値観を伝えても、すぐに全員が理解し受け入れることはできません。

そんな時にはまず2割のスタッフに理解、受け入れてもらい、それを核に組織を変えていこうとしているのです。

【第六の要点】
「固定観念にとらわれず、業務改革を行う」

多くの看護師が退職すると、病院の業務が立ちいかなくなります。

しかし、有原は価値観を理解できない看護師を慰留することはせず、こう言います。

「無理に残ってもらってもいずれ病院のお荷物になる。反対意見は歓迎します。論戦も大いに結構。でも、変わることを頑なに拒んで自らリングを降りてしまう人は僕は引き止めても仕方がないと思うんです。すぐ求人を出してください」

有原は、現場の業務が回らないという意見に対して、この危機を病院全体でカバーできないかと考えます。

看護師の荷重労働を全体でなんとかできないかというのです。

「僕もそうなんですが、看護師の献身的な働きについ頼りすぎてしまいがちなんです。病院は一つのチーム。看護師の負担を他の部署で補うことはできないでしょうか。」

「確かに資格がなくてもできる仕事まで看護師に任されてますよね。」

「それを分担すれば、その辺はなんとかなるか・・・」

「看護師の負担軽減策、すぐに取り掛かりましょう。」

「はい」

看護師だけではなく、ドクターやクラーク、事務方が役割を分担し、どうすれば看護師に負担をかけすぎず効率良く仕事ができるかを考えていきます。

医師からはこんな意見も出てきます。

「看護師の離脱を招いた責任はそちらにあるんですよ。と言いたいところだけど、内側の事情で患者さんを放り出すわけにはいかないな・・・病棟での採血なんか検査技師と協力すれば僕たちに何とかできるんじゃない?」

と少しずつ協力的な雰囲気が作り上げられていきます。

業務が何とか回るようになった後、有原はこうも言います。

「どうなるかと思いましたが、今の所ギリギリ回ってるようですね。みんな再認識したんじゃないかな・・・看護師たちが当たり前のようにやってくれることのありがたみを。怪我の功名ってとこですかね。」

ドラマとはいえ、クライアントでもこれに近いことが起こってきましたので、ハラハラしながら観ていましたが、有原の粘り強い行動が少しずつ実を結び始めていて、応援したくなります。

自分の意思を明確に打ち出し、粘り強く行動し続けると、少しずつ変化が起こってくる。

こんなことを教えていただいた気がします。

今日の内容に関連した動画をアップしましたので、以下で御覧ください。

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