分院を開設する時の注意点

医療法人を開設し、業績が順調に推移すると分院を開設したいという先生が数多くいらっしゃいます。

そんな時、最初はあまり賛成しないことにしています。

多くの医療法人でトラブルを見てきているからです。

理事長先生は、開設前は大丈夫だよ・・・と自信を持って言われます。

が、やはりトラブルが発生することが多いのです。

一番多いのは、分院の院長先生とのトラブルです。

分院の院長先生と理事長先生の関係はいろいろあります。ご友人、前職のご同僚、後輩、先輩、公募で採用された方・・・

昔からの後輩だから・・・今まで世話をしてきた人だから・・・といって油断は禁物です。

医師の方々ははご自分の診療方針を持ち、腕一本で食べていける方々です。

極端に言うと、どこでも食べていけると考えておられる方々です。

ご自分で開院されることが不安で分院での勤務を選択した先生でも、分院の経営が軌道に乗り始め、売上・利益とご自分の報酬・待遇を比べ始めたら不満が出てくることがほとんどです。

また、診療方針の食い違いで互いに不信感を持たれるケースもあります。

そうなるとどうでしょう。

自分で近くに開院したほうがいいや・・・

もっと条件がよくて環境のいい病院で働こう・・・

となるのが人情です。

困るのは理事長先生です。

分院を開設されるときには院長候補の先生とじっくりとコミュニケーションをとっておくことが大事です。分院の院長になることのメリット・デメリット、院長の権限の範囲(採用、マネジメント、経費など)、報酬の詳細、勤務条件などをお互いの納得づくで決め、契約書をきちんと結んでおきましょう。

将来、分院を売却する可能性がある場合も、事前に文書でその条件を決めておくことが重要です。

その他にも分院のスタッフのマネジメントをどうするかなど、検討課題は山積みです。(本院のマネジメントだけでも大変なご苦労をされている先生が多いのに・・・)

とは言え、分院を広い範囲にうまく展開されている医療法人があることも事実です。

分院開設を検討されるときには、まず開設の目的(何のために分院を開設するのか)をよく考え、開設のメリット・デメリットを検討するようお勧めいたします。

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