ビルの一室を借りて医院を開業する予定です。注意事項はありますか?

現在勤務されている先生からのご質問です。

開業される場所を決めることは大きな意思決定です。

ただ、ここで安心はできません。

賃貸契約や医院設計、内装工事など大仕事が山積みです。

医療機器と並び、最大の設備投資になりますので、細心の注意が必要です。

まず、賃貸契約の内容の確認をきちんと確認しましょう。

できれば賃貸契約に詳しい弁護士さんにチェックをしてもらいましょう。

一般的な契約書をそのまま使われているケースも多いようですが、契約はあくまでも個別のものです。いざという時には契約書が法律代わりになりますので、細かい点までチェックしましょう。

自分の方針や将来の計画などに照らし合わせ、賃貸方式や期間、更新方法、退去時の決まりなど確認します。

ビル診の場合はビルの管理規定などもありますので、これも確認する必要があります。休館日、開館時間、休館日・時間外の出入り、管理費なども確認します。

賃貸料や保証金などの価格の交渉もきちんと行いましょう。賃貸契約をしてもすぐに診療ができるわけではありません。内装工事や行政への開設届など時間がかかります。契約後しばらくは賃料を免除してもらえるよう交渉をしてみましょう。

医院のレイアウト設計、内装工事は大きな経費がかかります。コストが過大にならないよう注意しましょう。

最大のポイントは信頼できる医療に精通した業者さんを選ぶことです。

開業されている先輩、ご友人から紹介してもらうと安心かもしれません。

時間に余裕があるのであれば、複数の設計士さんにお話を聞いてみてはどうでしょうか。設計はやはりフィーリングが大事です。自分と一番フィーリングのあう人を選びましょう。

設計士さんは医療専門の方が好ましいです。医院特有の設計をしなければなりませんので、未経験の方では不安です。開院時や開院後に不具合が発生して、手直しをすると手間もコストもかかってしまいます。

施工も業者さんをコンペなどで選べば適正なコストで行えるでしょう。信頼できる設計士さんに施工・コストの管理をお願いすることも可能です。

工事の区分にも注意が必要です。一般的にA工事、B工事、C工事と区分されています。Aは工事も費用負担も貸主さん、Bは工事は貸主さん費用負担は借主さん、Cは工事も費用負担も借主さんが行います。

ここでよく問題になるのはB工事。その範囲や経費がどれぐらいになるのかでよくもめるのです。借主さん側からすると予想外の経費がかかり、開院に支障をきたすこともあります。

賃貸契約を結ぶ前に、概要でもよいので、B工事について打合せをしておく必要があります。

できればB工事のコストを概算でも出してもらい、事業計画にも盛り込んでおくようにしましょう。

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