旧医療法人は5年後に持ち分のない医療法人になるの?

ある先生から電話をいただきました。

「自分の医療法人は5年後に持ち分のない医療法人にさせられるの?」とのお問い合わせです。

寝耳に水でしたので、「先生、どこでそのお話を聞かれましたか?根拠はなんでしょうか?」と質問をさせていただきました。

「開業医の先輩から聞いた。先輩は医療法人から個人に資産を移転しているようだ。」とのことでした。

なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。

旧医療法人(経過措置型医療法人)は「当分の間」持ち分のある医療法人のまま存続できることになっています。この「当分の間」がやっかいな表現で、いつまでなのか?ということが多くの先生方の関心事になっています。

法令で「当分の間」と定めるのは、法令制定の時点において直ちに三年なり五年なり特定の期間を見通すことができない場合においてである。                        「ワークブック法制執務」ぎょうせい刊より抜粋

どうもこのような「当分の間」の解釈から5年後という説が出ているようなのです。

この「当分の間」が使用されている例として、精神科特例が昭和33年以降基本的に続いています。「当分の間」イコール5年ではないようです。

また厚生労働省が医療法人制度の改革を検討した資料を見ると、経過措置型医療法人から持ち分のない医療法人への変更は、「出資者の財産権侵害を回避し自主的移行とするが、変更後は後戻り禁止」となっています。以下URL参照。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/kanrenhouan02b02.pdf

経過措置型医療法人は現在約4万件あると言われています。その出資者はその何倍かになるはずです。その方々の憲法上の財産権の侵害の恐れがあることを、議論もなしに決めることはできないのではないでしょうか。

また、持ち分のない医療法人に移行した場合の税制についてもまだ明確に決まっていないようです。

これほど重要なことが一朝一夕に決まることは考えられません。もし、そのようなことになったとしても何年かの期間の議論があるはずです。その時にじっくり対策を考えても遅くはないでしょう。

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